運動は体にいいだけではない。脳に利く!
運動が体にいいのは常識ですが、ここ数年は「頭を良くする」ためにも欠かせないことがわかってきました。独立・起業を考える方は『起業家脳』を鍛えていかないといけません。そんな方にも必見の運動は体にいいだけではなく、脳にもいいことが判明した、ということを紹介したいと思います。
皇居ランナーの大半は、年収700万円超?
東洋経済オンラインの記事で「皇居ランナーの大半は、年収700万円超?~デキるビジネスパーソンが『走る』理由~」と題した記事が掲載されました。内容はというと、ランニング専門誌の『ランナーズ』の調査によると、「皇居を走るランナーの半数以上が年収700万円以上」という結果が出たということらしい。
それについてネットでは…、「走れども走れども低収入の人もいる」「まるでランニングをすれば年収が上がる、ランニングをしないから年収が上がらないかのような書きっぷりだ」「順番が逆だよねえ。高収入だからランニングする精神的・時間的余裕があるんだよ」等々、ネットユーザーからは、「それは相関関係であって因果関係ではない」と冷ややかなツッコミも出ています。
この記事では、(株)ベネッセコーポレーション、日本マクドナルド(株)、アップルコンピュータ(株)社長を歴任した原田泳幸氏や「白木屋」「魚民」「笑笑」を展開するモンテローザの創業者大神輝博氏の両氏もランニングを興じることを例に挙げ、ランニングが自分を鍛えるツールとなること、時間管理、目標達成意識などマネージメント力に通じる、よってランニングをすることがビジネスにも生きてくるという内容が綴られています。
でも、ランニングをはじめとする運動が実は自己管理力を極める以外にも、脳にもいいということが証明されたらしいのです。
運動すると頭が良くなる!脳細胞も増えると判明!
プレジデントオンラインの記事によると、
「運動すると、脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質が脳の中でさかんに分泌されます。このBDNFが、脳の神経細胞(ニューロン)や、脳に栄養を送る血管の形成を促すことが明らかになりました」
以前は「脳のニューロンの数は生まれたときに決まっており、その後は加齢とともに減っていく一方で、増えることはない」と考えられていた。だが最近では、さまざまな要因で後天的に増えることが科学的な常識となっている。
「ニューロンの数を増やすために最も効果が期待できるのは、運動です。さらにものを覚えたり認知能力を高めるために必要な神経結合を増やしたり、ドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンといった思考や感情にかかわる神経伝達物資の分泌を促す効果も、運動にはあります」と、『脳を鍛えるには運動しかない!』(NHK出版)の著者、ハーバード大学医学部のジョン・J・レイティ博士が言います。
たとえばいくつかの研究では、有酸素運動によるトレーニングを行うことで、記憶をつかさどる海馬が大きくなることがわかっている。 また、継続的な運動によって、脳の認知能力が強化されることも明らかになってきた。
学業成績と運動との関連性については、アメリカでは1980年代から研究が進められてきた。有名なものの1つは、カリフォルニア州教育局が2001年、同州の小学5年生約35万人、中学1年生約32万人、中学3年生約28万人を対象に行った大規模な調査だ。
この調査ではまず、「フィットネスグラム」と呼ばれる総合的な体力調査で、子供たちの心肺能力や筋力、持久力、体脂肪率などを調べる。そして、体力と標準学力テストの数学およびリーディング(英文読解)の成績の、関連性を分析した。すると、体力調査での成績が高い子供ほど、学業成績も優秀な傾向があることが確認された。
では、どういう運動が、脳を育てるために効果的なのか。レイティ氏が勧めるのは、一定時間にわたって心拍数を上げるタイプの運動だ。研究によると、数ある体力の評価基準のうち、とくに心肺機能が学業成績と強い相関関係を示しているという。
具体的な心肺機能の高め方は、速足でのウオーキングやランニング、エアロビクスやエアロバイクを使った運動など。筋トレなどの無酸素運動ではなくウォーキングやランニングということらしい、つまり、脳の細胞を増やす=ランニングするということでもあるわけで、ランニングする⇒脳にいい⇒いい仕事ができる⇒評価される(昇給、昇進等)ということなのかもわかりません。
とはいえ、運動だけで成績が上がるわけではないと、レイティ氏は指摘しています。
「運動はあくまで、脳が学習するための準備を整える役割です。成績を上げるためには、そのあとの学習とセットで考える必要があります。運動を終えるとまもなく脳の血流が増しますが、このときこそが、思考力や集中力が飛躍的に高まるチャンス。勉強を始める前、できれば朝にやることをお勧めします。」
記事では、この後、レイティ氏の理論を基に米国で行われている、子ども向け(幼稚園・保育園~小学生)の脳を活性化させる運動プログラムboksというものを紹介していますが、ここでは、レイティ氏の著書『脳を鍛えるには運動しかない!』(NHK出版)を基に大人向けに脳を鍛える運動のコツを書いた記事がありますので、そちらを紹介したいと思います。
脳にいい効率的な運動の 7つのコツ
ハーバービジネスオンラインの記事によると
1.とにかく運動を楽しむ
「脳を鍛えるには運動しかない!」などの著書で有名なジョン・レイティ教授によれば、楽しんで運動をしたほうがBDNFは出やすくなります。運動を楽しむことで脳の報酬系が活性化するのが原因です。
いっぽうで2014年にコーネル大学が行った実験では、強制的に運動をさせられた人は脳の活動が低下してしまったとか。まずは、自分が好きなエクササイズを選ぶのが最大のポイントです。
2.失敗する確率が高いエクササイズを選ぶ
安全な運動よりも、ちょっと危険なエクササイズのほうがBDNFは出やすくなります。
たとえば、普通のウォーキングでもBDNFは出ますが、ボルダリングやサーフィンに比べれば分泌量は少なめ。その点では、格闘技なども頭を良くするには最適かもしれません。
とにかく、ハイリスハイリターンな運動を選ぶのが脳機能の改善には大事です。
3.運動は毎日やる
多くの研究により、週に2~3回の運動よりも、毎日体を動かしたほうがBDNFは出ることがわかっています。
つまり、週末にまとめて10キロ走るのだったら、毎日1kmちょっとずつ走ったほうが頭を良くするためには有効。毎日軽いウォーキングをしつつ、週1~2のペースで好きなエクササイズを行うのがいいでしょう。
4.HIITを取り入れる
HIITは「ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング」の略で、短い休憩と激しい運動を交互に行う手法です。具体例をあげると、
1.20秒ほど猛ダッシュ
2.10秒休憩
3.1~2の手順を4回くり返す
といった感じになります。普通の有酸素運動よりも効率よく体力がつくことで有名ですが、実はBDNFの分泌量を上げる働きも持っています。
なかでも効果が高いのは、日本の田畑泉博士が開発した「タバタ式トレーニング」でしょう。70年代に生まれたHIITの一種で、普通の有酸素運動にくらべて5倍も代謝をあげる効果を持っています。具体的な方法は以下のとおりです。
1.負荷が高い運動を20秒間
2.10秒間お休み
3.1~2の手順を8回くり返す
すべてをこなしても、たった4分しかかかりません。負荷が高い運動は何でもOKで、猛ダッシュでも腕立て伏せでも縄跳びでも構いません。自分が好きな種目を選んでください。
研究によれば、頭を良くするには2分のスプリントでも十分に効果が出るとのこと。逆に長時間の有酸素運動はストレスホルモンが出すぎてしまうので、45分以上の有酸素運動は避けてください。
5.運動は勉強から4時間後する
2016年にラドバウド大学が行った実験によれば、勉強から4時間後に運動をした被験者は、長期の記憶力が12%もあがりました。運動でBDNFが出たのはもちろん、海馬(記憶をつかさどる脳のエリア)が活性化したのが原因のようです。
いっぽうで、勉強の直後に運動をしたグループには、記憶力アップの効果が出なかったとのこと。数時間の差をつけるのがコツのようです。
6.複雑な動きのエクササイズを選ぶ
2004年のレビュー論文によれば、単純に回し車で遊んだマウスよりも、複雑なエクササイズをしたマウスのほうがBDNFが出やすかったとか。ランニングのよう単純なエクササイズよりは、サッカーやバスケのように敏捷性が必要なスポーツをしたほうが脳には良いようです。
7.できるだけ屋外で運動する
BDNFを作るにはビタミンDが欠かせません。ちゃんと太陽の光を浴びないとビタミンDが足りなくなってしまい、BDNFも作られないことになってしまいます。
運動は「体にいい」「脳にいい」「自己管理にいい」となれば、しない理由はありません。でも、大切なのは楽しく続けることができるかどうか?でも、けっきょくの所、ランニングに限らず、人からのアドバイスなんかを「素直」に実行することができる。そして、それを義務感ではなく、継続的に続けていける。そういった人が独立・起業を成功させるんでしょうね?