学習塾業界の今後について考えてみた!!

 少子化の進展や脱ゆとり教育の推進、2020年の高大接続改革(いわゆる大学入試改革)などに代表されるように、学習塾業界を取り巻く環境は大きく変化しています。学習塾業界の今後はどうなるんだろうか?!( 参考:内閣府発表「教育再生を通じた 日本再生の実現に向けて(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2014/0527/shiryo_02.pdf)」)

目次

1.少子高齢化の影響は?
2.通塾率と通塾の低年齢化
3.少子化の中でも学習塾のフランチャイズ業界は伸び続けています
4.不況に強かった学習塾業界
5.減る18歳人口、増える大学進学率
6.人づくりは、国づくり。教育再生への取組み始まる
7.東京都の受験生チャレンジ支援事業。塾費用20万円貸付け、進学で返済免除…

pixta_16853654_XL

 

少子高齢化の影響は?

学習塾業界がターゲットとする子供の数は、1980年頃をピークに減少傾向を続けています。
総務省の推計「我が国のこどもの数(http://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/pdf/topics89.pdf)」によると、2015年4月1日時点の日本の子供(15歳未満)の数は、1617万人で、34年連続減少。総人口に占める子供の割合は12.7%と41年連続で低下しています。

今後の子供の数についても、状況はさらに厳しく、内閣府がまとめた将来推計人口によると、30年の子供の数は総人口の12.03%まで低下する見込みとされています。
近年の非婚化や晩婚化などを考慮すると、この先、子供の数が急激に増えることは考えにくく、教育市場の主な対象となる子供の数は、今後もさらに減少していくと予想されています。

年齢区分別将来人口推計

では、学習塾業界に未来はないのでしょうか…?

通塾率と通塾の低年齢化

進学・就職面で苦労をさせたくないという親世代の思いから、通塾率 通塾率は増加しています。大学受験に強い中高一貫校や大学までストレートで行ける付属小中学校の人気などから、低年齢層が塾に通っている割合(通塾率)が特に増加しています。
また、経済産業省による特定サービス産業動態統計表における学習塾の売上高と受講生数の推移をみても毎年増え続けているのがわかります。

しかしその内訳は、個人経営の学習塾は減少し、その代わり法人経営の学習塾が増加傾向に。これは集客力のある大手 チェーンがフランチャイズ展開で事業所数(教室数)を伸ばしているためで、個人塾がフランチャイズに加入する 事例も増えています。

特定サービス動態統計表(学習塾)

※通塾率の比較:「子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告」(文部科学省)データを基に作成
※学習塾売上高・受講生数推移:特定サービス産業動態統計表」(経済産業省)データを基に作成

少子化の中でも学習塾のフランチャイズ業界は伸び続けています。

一般社団法人日本フランチャイズ協会の「フランチャイズチェーン統計調査」をもとに、フランチャイズの学習塾の売上と店舗数の推移を見てみると、毎年増えているのがわかります。

学習塾売上高 学習塾店舗数

日本の教育においては、大きな改革の動きが続いています。教育のICT化は継続して推進されていますし、大学受験に関して言えば、2020年に予定されているセンター試験の廃止と大学入学希望者学力評価テストの導入が近づいてくるなど、改革の現実味がいよいよ増してきています。当然その影響は、中学校以下の低学年層にも影響を及ぼします。昔であれば塾には行かなかった層、つまり学校の授業についていけなくなった層が、フランチャイズを中心とした、個別型学習塾などを中心に通うようになることも想定されます。

学習塾店舗売上平均

pixta_15291368_XL

不況に強かった学習塾業界

日本は現在デフレ経済下にあり、主要産業が軒並み苦戦を強いられている中、比較的安定した状況にあります。その理由は、教育業界が不況に左右されないという特性を持っているからです。不況で収入が減れば家計は嗜好品や娯楽費、外食費などを減らし対応します。しかし子どもに対する教育費はあまり減らすことがないのです。2007年、アメリカのサブプライムローン問題をきっかけに景気は後退し、2008年のリーマンショックによって景気はさらに悪化しました。様々な業種、企業が大きな影響を受けましたが、学習塾業界については大きな影響を受けませんでした。いつの時代、どんな状況であっても、「子どもに質の高い教育を受けさせてあげたい」「子どもに幸せな将来を迎えさせたい」という親の気持ちは変わりません。

減る18歳人口、増える大学進学率

文部科学省の発表によると、2015年(平成27年)度の大学進学率は男女合わせて56.5%で、2人に1人以上が大学に進学しています。18歳人口は確実に減っているにもかかわらず、今の大学生の数は現在の親世代より100万人近く増えていることになります。戦前、戦後当時の大学進学率は10%以下。大学へ進学する生徒は少数派でしたが、その後、1960年代から上昇を続け、専門学校ができた1976年(昭和51年)以降はいったん低下したものの、2009年(平成21年)には50.2%とはじめて半数を超えました。(画像データは文部科学省の「18歳人口と高等教育機関への進学率等の推移」をPDFより画像データ化したもの)

imgpsh_fullsize

少子化により大学全入時代などと言われています。しかし、行きたい大学は誰もが同じで人気のある大学は競争も厳しく、しっかりとした受験対策が必要です。

関連記事:東洋経済オンライン「学習塾、少子化でも最高益ラッシュのなぜ」

人づくりは、国づくり。教育再生への取組み始まる

2016年5月に安倍内閣が「教育再生」を政策の重要課題に取り上げたことをきっかけに、世間でも教育業界に対する注目が高まっています。 2013年の教育再生実行本部の第一次提言で放たれた教育再生3本の矢…。
1)英語教育の抜本改革
2)理数系教育の刷新
3)情報通信技術(ICT)教育

特に英語教育の抜本改革については、既に様々な改革が実施・検討されています。その中でも学習塾をはじめ、教育業界にとって、特に影響が大きいのが、以下の2つです。これについては2016年8月1日に小中高校の教育内容を定めた学習指導要領の改訂案として発表されています。
①2020年の大学入試改革において、英語の4技能評価と外部資格評価の導入
当然、センター試験に変わる大学入試だけではなく、各大学の二次試験・私大入試も同様の方向に大きく変化すると思われます。
②2018年から始まる小学5年生からの英語の「正式教科化」の部分実施
2020年からの全面実施をめざしています。
参考:小学校英語教育が変わる!2020年「小学3年生から必修化」「小学5年生から教科化」!!

「聞く」「読む」ことが中心であった従来の英語教育に加え、「話す」「書く」も含めた4技能が上記のテストにおいて重視されることで、高校のみの学習でカバーできるのか?これまでの教科の学習量に英語が加わることで小学生への負担は非常に大きいものとなります。学校の授業についていくことができない小学生も出てくることも考えられます。

東京都の受験生チャレンジ支援事業。塾費用20万円貸付け、進学で返済免除…。

東京都では、高校・大学進学を目指す受験生とその家庭を支援するために学習塾や受験費用をサポートする貸付けを行っています。
受験生チャレンジ支援貸付資金」は、高校・大学受験対策の学習塾等の費用をサポートするものと、高校・大学等の受験料をサポートするものの2種類。いずれも無利子貸付である点が特徴で、学校教育法に規定する高等学校や大学、短期大学、他各種学校に入学した場合、返済が免除されます(一部対象外となる場合あります)。

◆東京都受験生チャレンジ支援貸付事業貸付金
対象:都内の中学・高校3年生(貸付け時)をもつ保護者
貸付無利子、入学後返済免除
貸付学習塾等受講料:20万円(上限)
貸付受験料:中学3年生2万7,400円(上限)、高校3年生10万5,000円(上限)

東京都受験生チャレンジ支援貸付事業

東京都のほか、子どもたちの学習意欲をサポートする取組みとして大阪市が実施している「塾代助成カード」というものもあります。大阪市の「塾代助成カード」は、交付される個人専用のICカードで、たとえば学習塾の費用を月1万円まで支払うことができます。カードの利用は、塾に限らず文化・スポーツ教室にも対応しています。現在公表されている申請申込みはすべて締め切られていますが、今後の情報に要注目です。

◆大阪市 塾代助成事業
対象:大阪市内に住む中学生の保護者で「大阪市児童生徒就学援助制度」の認定を受けている者
貸付:生徒1人当たり月1万円(上限)
ICカード利用。毎月指定日に1万円(上限)が振り込まれます

大阪市塾代助成事業

関連記事:KaikeiZine「祖父母の一括教育資金贈与 多額な出費の学習塾などに活用」

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)