独立・起業を考える人のための「基礎知識」

 「今の会社がいやだから起業したい」「今の仕事にやりがいがないから独立したい」。そんな気持ちが起業・独立へのスタートだったりします。でも、ちょっと待ってください。“今がいや”だけが起業の動機なら要注意です。起業すること、社長になることは簡単です。しかし、継続して利益を出し続けることは容易なことではありません。

 ここではホンキで起業を考えている方、起業するかどうか迷っている方、勢いだけで起業を考えている方に、独立・起業の基礎知識をご紹介します。

pixta_23403236_XL

目次

1.独立起業する人が増加する時代背景

2.独立起業の形態を考える

3.起業とサラリーマンの違いを知る

1.独立起業する人が増加する時代背景

近頃、独立起業を考える人が増えています

会社に依存しない自分らしい生き方や縛られない働き方を求め、さらには自分のやりたいことを実現するために、起業・独立という選択肢を真剣に考えている人が増えています。シニア世代、女性や主婦、現役学生や新卒など、様々な創業者が誕生し、新しいスタートを切っています。独立起業が増加する背景には、どのような要因があるのでしょうか?

①終身雇用制度の崩壊など、雇用の変化

古くから日本型経営を支えてきた「終身雇用制度」「年功序列の賃金制度」という日本独自の経営スタイルが崩壊し終身雇用から転職があたりまえになった雇用形態、年功序列の賃金体系から能力給へと様変わりしています。また、コストカットやリストラ、長時間労働による過労など、ブラック企業などという社会的な問題も日々深刻になっている状況もあります。

そして、企業の人材に対する考え方も変わってきました。派遣社員をはじめとする非正規雇用のニーズが高まり、もはや、時間とコストをかけて「人材を育成する」という余裕は企業には無く、「使い勝手の良い即戦力」が求められるようになってきています。

さらに、利益を創り出せる社員を育成するために、「カンパニー制」や「社内ベンチャー制度」といった新しい管理制度を導入し、社員に対しても意識改革と経営スキルの向上を求めるようになり、その効果として経営マインドの高い人材が誕生するようになりました。  そのような延長線上に、自らの力を起業によって試そうとする人々が増えるのも、自然の成り行きと言えるでしょう。

②自己実現を目指すライフスタイル

終身雇用制度の衰退は、働く人々の会社に対する帰属意識やファミリー意識を急速に減退させました。会社に骨を埋める覚悟で働き続けるというオールド・スタイルの働き方は、時代とマッチしなくなってきたのかもしれません。  むしろ、そのような組織の歯車としての働き方に疑問を抱く若者が増え、仕事のオンとオフをはっきり区別しながら、自らのライフスタイルを大切に考えるようになってきています。家族との時間や、趣味、学びといった自己実現のために使う時間やお金を重視する傾向にあり、起業によって、時間に縛られるサラリーマンとしての仕事のスタイルから抜け出そうとする傾向にあるのです。

③新会社法による起業ハードルの低下

平成18年5月に施行された「会社法」によって、会社設立の要件が圧倒的に緩和されました。それまでの最低資本金制度(株式会社では1,000万円以上)が撤廃され、資本金1円でも会社設立が可能となりましたし、「取締役は3名以上、監査役は1名以上」という役員の設置義務も緩和され、「取締役1名のみ」の会社を設立することも可能となりました。

起業するというプロセス自体は非常に簡単ということです。事業を継続させて成功し続けるのは難しいということを忘れてはいけません。

④その他の要因

年金給付年齢の引き上げにともない、定年後も仕事をしたいと考えるシニア世代、リストラなどの雇用調整にともなう早期退職プログラムによる中高年層の退職者数に対し、再雇用が狭き門となっていることも否めません。また、各業界において合理化を目的とした大々的な再編が行われ、在籍した企業で培ってきた技術や技能が活かせる先を見つけるのは至難の業でもあります。

さらに「地球温暖化」をはじめとするさまざまな環境問題や「少子高齢化」、またインターネットの普及やインフラ整備が整ったことによる「情報化」、そして「安全・安心」「健康・美」に対する意識が高くなってきたことなどにより、新たなビジネスチャンスが出てきたことが大きいといえます。

2.独立起業の形態を考える

個人事業と法人の選択

独立・起業の形態は多様です。どの形態が「一番」ということはありません。法律や事業責任の及ぶ範囲、設立手続きのやり方、起業後の運営しやすさ、支払う税金の種類や額など、細かな違いがあります。自分の性格や、やりたい事業にはどの独立形態が向いているのか?

事業形態には大きく「個人事業」「法人」の2つがあります。更に「法人」には、「株式会社・合同会社・合資会社・合名会社」といった形態があります。それぞれの内容は下記の表を参考にしてください。

よくある質問が、起業にあたり個人事業と法人のどちらが良いか?というものです。個人事業は事業開始までの敷居の低さ(申請が不要、景況に合わせて対応しやすい)において優位があり、法人はBtoB事業や金融機関融資における信頼性の高さに優位があります。どちらにしても起業・独立後の計画が重要であるのは言うまでもないので、自分の事業に合わせて最適な起業形態を決めましょう。フランチャイズで起業する場合もこの個人事業と法人のどちらにするか、は関わってきますので調べておくことをおすすめします。

個人事業と法人の違い

個人事業と法人の違い②

個人事業と法人のメリット・デメリット                                                 

■個人事業の場合
(メリット)
・開業や事業運営の手間がかからない
・開業費用がかからない
・法人に比べ、会計処理が簡単
・事業所得が600万円~700万円以下であれば、法人よりも節税メリットがある

(デメリット)
・社会的信用度が低いので、取引や従業員の採用が難しくなる
・金融機関からの融資が受けにくい
・無限責任のため、万一事業に失敗した場合は、個人事業主の財産を売却してでも債務を返済しなければならない
・厚生年金ではないため、法人よりも年金額が少なくなる
・事業所得が600万円~700万円以上であれば、個人事業のほうが税金が高くなる
・赤字の繰り越しは、3年までしかできない (法人は7年)

■法人の場合
(メリット)
・社会的に信用が高い。
・株式会社や合同会社では、責任が有限であるため、万一事業に失敗した場合も、会社法人の財産しか返済の対象にならない(事業主の個人保証をしていた場合は別)。
・金融機関などからの資金調達や融資が有利。
・経営者やその家族も社会保険に加入できる。
・適正な額であれば、役員や従業員に対して退職金が認められている。
・経費の認められる範囲が個人事業より広い。
・年間所得が600~700万円以上になれば、個人事業よりも税金上のメリットがある。
・赤字の繰り越しが最大7年のため、個人事業よりも税金上のメリットがある。
・決算期を自由に選択できる。
(デメリット)
・法人設立にあたり、定款作成や登記など、手間と費用がかかる。
・業績に関係なく、法人住民税の納税義務がある(年間で最低約7万円)。
・医療保険、年金保険、労災保険、雇用保険など、各種社会保険の加入が必要となる。
・法人を運営するための事務処理が増える。
・会計処理が煩雑で、厳密性が要求される。
・事業所得が600万円~700万円以下であれば、法人のほうが税金が高くなる。
・事業を廃止するときにも手間と費用がかかる。

データから見た起業の形態

(中小企業白書2014 第3-2-18図より抜粋)

全体として個人事業として起業する人が7割超となっています。シニア世代が株式会社、有限会社を選択する傾向があります。企業勤務経験が豊富で社会的な信用を大切にすることから、そのような選択をする傾向があるものと推察されます。

個人企業(個人事業者)
株式会社・有限会社
特定非営利活動法人
全体平均 74.4% 24.3% 1.3%
女性 78.6% 19.3% 2.1%
若者 76.0% 22.0% 2.2%
シニア 69.8% 29.5% 0.6%

 pixta_10521844_XL

3.起業とサラリーマンの違いを知る

起業して社長になるだけなら簡単です…

起業するからには絶対に成功したい!と思って実際に起業しても継続していける確率は設立5年で15%(フランチャイズの場合60%)しか残らず、85%の企業が廃業するというデータもあります。

起業することは以前に比べると簡単にはなりましたが、続けられるかどうかは保証されていません。1年、3年、10年…と長く続けてビジネスを軌道に乗せるために、起業する前にもう一度「なぜ起業したいのか」を確認しましょう。後悔しないため、未練を残さないためにもサラリーマンと起業する場合を比較しますので参考にしてください。

サラリーマンのメリット・デメリット
(メリット)
・毎月給料やボーナスが支給されるし、退職金制度がある
・社会保険完備
・経費は会社負担(交通費はもちろん、営業活動に必要な備品やコピー等)
・社会的信用(ローンなどの審査が通りやすい)
・福利厚生がある

(デメリット)
・雇用される側なので、給与の上限があるし下がる可能性がある
・定年/解雇の可能性がある ・会社の方針に従う必要がある(就業規則、ノルマなど)
・人間関係のストレス

起業するメリット・デメリット
(メリット)
・サラリーマン以上の収入を稼げる可能性がある
・定年などはなく、自分の意思でずっと続けられる
・自分がトップであるため、上司に対するストレスは無い
・休みたいときに休める

(デメリット)
・収入は自分次第(ゼロの可能性もある)
・必要経費もすべて捻出が必要
・保険、確定申告などは自己管理が必要
・社会的信用が低い

サラリーマンなら、会社の備品ひとつ使うことに対して、ありがたみを感じることなどないと思います。ところが、起業するとそうはいきません。すべてが経費として自分に降りかかってきます。勤めている、勤めていた環境によって異なるとは思いますが、基本的にはサラリーマン時代、会社から与えられたものはすべて自分で準備しなければならないと思っていて間違いないと思います。一歩を踏み出す準備はできましたでしょうか?

 

 

 

 

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)